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相談事例

楓不動産鑑定事務所のソリューション例をご紹介します。

Case1相続

税理士の先生から、顧問先の相続税の申告のために算定した不動産の相続税評価額が時価と乖離しているように感じられるということでご相談いただきました。

対象不動産は、市街化区域内に存する地積約1,800㎡の崖を含む傾斜地と地積約250㎡の無道路地でした。
対象不動産を通常の宅地として利用するためには、造成工事、道路の開発といった費用や手間が生じること。地積が大きいことから、総額が嵩むため、需要者が不動産開発業者等に限定的となること。こうした要因を適切に反映させ鑑定評価を行ったところ、鑑定評価額は、相続税評価額よりも低く求められました。

相続税における不動産評価は、財産評価基本通達によって具体的な計算方法が定められています。これは相続税・贈与税の課税を目的としているため、画一的にならざるを得ない側面があり、不動産の個別性によっては評価額が市場価格と乖離してしまうこともあります。そのため、財産評価基本通達による評価額よりも、現実の市場における時価が低い場合には、市場価格の証明として不動産鑑定評価書を利用することにより相続税の申告を行うことができます。
このケースでは、財産評価基本通達による評価額と比べて市場価格(鑑定評価額)が低かったため、相続税の負担を減らすことができました。

Case2相続

遺産分割協議で揉めているということでご相談いただきました。
原因は、相続財産の中で大きなウェートを占めていた賃貸マンションの評価額でした。
一部の相続人がこの賃貸マンションを取得する代わりに、他の相続人に対して金銭による補償を行う代償分割という方法で遺産分割を行いたい。しかし、金銭を受け取る側の相続人が賃貸マンションの評価額が低いと不満を持っていて協議がまとまらないとのことでした。

そこで、賃貸マンションの貸室賃料、共益費、駐車場収入等の収益、維持管理費、修繕費、固定資産税、保険料等の運営に必要となる費用を調査し、当該賃貸マンションの収益性を適切に反映した鑑定評価書を作成しました。
公正中立の立場にある不動産鑑定士による不動産鑑定評価によって、適正な時価が提示されたことにより、各相続人に納得してもらうことができました。

遺産分割協議の際の遺産の評価については、協議を行う各相続人が納得できるものであればよいので、固定資産税の評価額を一応の基準としたり、相続税申告上の評価を基準として協議を進める場合も多く見受けられます。
しかし、これらの評価額は時価とは一致しないものです。そのため、このケースのように相続人間で争いが生じることがあります。相続を争族としないためにも、適正な時価を評価できる不動産鑑定士にご相談ください。

Case3売買

社長が所有する不動産を会社が買う(同族間売買)際の適正な売買価格の相談。

同族間での不動産売買は、第三者との売買とは異なり、売買価格を自由に決められるため、恣意的な価額、つまり時価よりも低い価額・又は高い価額で売買することができます。しかし、時価と乖離した価格で売買してしまうと、税務署から租税回避と判定され、追徴課税されるリスクがあります。
同族間売買における時価の算定方法としては、①地価公示価格や地価調査価格に基づいて求める方法、②相続税路線価、固定資産税評価額に基づいて求める方法、③不動産鑑定評価等があります。

相談のあった不動産は、指定容積率800%の高度商業地域にありました。間口のかなり狭い土地で、建物内にEVを設置することもできず、周辺のビルが10~15階建であるのに対し、その不動産だけが5階建、容積率も350%程しか消化できていないといった状況でした。また、建物も建築後45年以上が経過していました。
このような特徴を持つ不動産であったため、①や②の方法では、対象不動産の個別性や市場性を適切に価格に反映することができませんでした。

そこで、対象不動産の個別性、市場性を反映させた適正な売買価格を把握し、さらに税務署に対して時価による売買であることの証明手段とするため、不動産鑑定評価書を活用していただきました。

Case4地代・家賃

  • 現在、借りている土地の地代や店舗、事務所、工場等の家賃が適正な額かどうか知りたい。
  • 新たに賃貸借をするが、地代、家賃をいくらに設定すればいいか参考にしたい。
  • 賃貸中の物件について、地代、家賃の増額(減額)の請求をしたい。

例えば、このような相談がありました。
Aさんは、祖父から企業に工場敷地として貸している土地を相続しました。相続を機に、周辺の地代を自分なりに調べたところ、現在の地代は相場より低いのではないかと感じました。また、Aさんの祖父は、その土地を30年前から貸していますが、ここ10年程は地代の改定をしていなかったようです。
Aさんから、地代の増額を企業に交渉するに当たって、現行地代と周辺地代相場にどの程度の乖離があるのか、増額請求するとして妥当な請求額がいくらぐらいなのか知りたいとのことでご相談いただき、継続賃料の鑑定評価を行いました。
継続賃料とは、既に賃貸借契約を締結している特定の当事者間で賃料を改定する場合の賃料をいいます。評価の過程では、新規に賃貸借をする場合の賃料(新規賃料)を求め、現行賃料との差額の分析も行います。
この鑑定評価書を証明資料として、Aさんは借主企業と交渉を行い、その結果、増額の賃料改定で合意を得ることができました。