税理士の先生から、顧問先の相続税の申告のために算定した不動産の相続税評価額が時価と乖離しているように感じられるということでご相談いただきました。
対象不動産は、市街化区域内に存する地積約1,800㎡の崖を含む傾斜地と地積約250㎡の無道路地でした。
対象不動産を通常の宅地として利用するためには、造成工事、道路の開発といった費用や手間が生じること。地積が大きいことから、総額が嵩むため、需要者が不動産開発業者等に限定的となること。こうした要因を適切に反映させ鑑定評価を行ったところ、鑑定評価額は、相続税評価額よりも低く求められました。
相続税における不動産評価は、財産評価基本通達によって具体的な計算方法が定められています。これは相続税・贈与税の課税を目的としているため、画一的にならざるを得ない側面があり、不動産の個別性によっては評価額が市場価格と乖離してしまうこともあります。そのため、財産評価基本通達による評価額よりも、現実の市場における時価が低い場合には、市場価格の証明として不動産鑑定評価書を利用することにより相続税の申告を行うことができます。
このケースでは、財産評価基本通達による評価額と比べて市場価格(鑑定評価額)が低かったため、相続税の負担を減らすことができました。